選び方が難しい
犬のサイズは概ね犬種で決まるが、個体差は小さくない。犬の足のサイズも同様に、犬種・体重で大枠が決まっても、遺伝の系統や生活習慣などによって個体差は結構ある。また、前足と後ろ足でも異なる。
靴のサイズは人間でも同じだが、小さな寸法の違いでも履き心地は大きく違う。
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犬の靴のスペック
サイズ(寸法)
これは基本だけど、足の肉球面のサイズだけで考えると、間違うことがある。
犬が歩いたり走ったりするときに、肉球面をペタっと地面につけてはいない。肉球のお腹に相当する部分は浮いている。
だから、足の横幅(左右方向)のサイズは変わることのない重要なデータだが、縦幅(前後方向)のサイズは、靴のデザインでどのように処理しているかで、重要度は変わって来る。
肉球面の縦横(前後左右)の寸法が決まれば足はすっと収まるものでもない。デザインが不適当だと、つま先に隙間が出来てしまう。
つま先に隙間が出来る理由
(1)つま先デザインの問題
靴の前側のデザインが窮屈な場合。曲面のRは殆ど必要ないのにラウンドさせているものがあるが、そういうデザインのものはつま先の隙間問題を抱えることがある。靴下や詰め物で調整するのは止むを得ないが歓迎するものではない。
(2)踵のエッジデザインの問題
踵の部分(肉球の後ろ面)を上手く掴めないデザインの場合。犬には踵に相当するところが上手く捕まえられない。肉球面と踵(かかと・きびす)が連続した状態になることがある。人間のようにエッジが立っていないということ。人間の場合は、靴のかかとに相当する部分の高さ(靴の深さ)で靴に足を収めるイメージが出来るが、犬の靴の場合は、意識してエッジを構成するデザインしないと、足が簡単に後ろに抜けてしまう。その結果、つま先に隙間が出来る。
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靴の固定の必要性
靴に掛かる力の強さによって靴をどの程度しっかり固定する必要があるかが決まる。
(1)固定性能が重要でないケース:
基本的に激しい運動をしない犬の場合は靴の固定は大きな問題にならない。簡単にずれたり脱げたりしない。
- 小型犬(例えば10キロ未満)。老犬。病気ケガの犬。屋外散歩の少ない犬。室内で飼う犬、ケージ飼いはさらに運動量が少ない(ほぼ虐待)。運動量が少ない犬。
- テクテクと歩くだけの強度の少ない運動。
(2)固定性能が重要なケース:
運動強度が大きい場合は、グリップが効かないと、あるいはグリップに対応する固定がしっかりできる靴でなければ、靴は簡単に脱げてしまう。結局、グリップが効くとは、靴がしっかり固定できていると言うことで、これが出来るか靴かどうかが靴選びの最大の問題になる。
- 中大型犬。屋外の散歩・運動が多い。活発な犬種。好きな犬種
- ダッシュ・ジャンプ・スピードランニングなど強度の大きい運動
- ボーダーコリーなど活発なワンチャンではグリップの効きが最大重要。
- 犬の習性:前足での穴掘り行為・後ろ足での地均し・土掛け行為もまた、靴の固定との関係で重要だ。ぐりっぷがきいていると、その行為は靴を脱ごうとする行為だから、固定性能が不十分だと簡単に脱げてしまう。
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靴の固定方法
しっかり固定させる必要がある場合は、簡単に脱げてしまっては困る場合は、靴の固定方法について正しく理解する必要がある。
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靴の開口部にマジックテープを付けて固定するタイプ:×
- ふわっと優しく足を覆い包む形になるので、犬の足を入れやすい(履かせやすい)また犬に優しい設計に見える。しかし、広い面で覆うため、カチッと締めて固定することが出来ない。固定性能が低い。
- 改良版として、マジックテープの付いたベルトを付け足して、開口部分を上から更に締め付けるようにしたものもある。若干の改善にはなっているだろうが、同じ方向にぐるぐる回すだけでは締め付けの効果は少ない。
ファスナー:不明(×)
- 検証していない。形が決まりやすいメリットも期待できる一方で、締め付け強度は不十分になる懸念もある。運動向きではないと推定する。
靴紐:不明(△)
- 検証していないが、デザイン的な考慮があれば、しっかり締め付けることが出来そうな期待がある。
- 一方で、犬の細い足をあまり締め付けると血流圧迫など弊害も気にしなければいけないので、紐ベルトの利用の是非は難しい。
- 簡単な操作で絞めるタイプのものは締め付け強度が十分出るか分からない。
Velcro strap:ベルクロストラップ
- 商品説明で目にすることがある。ベルクロと略すことも。日本ではマジックテープの名前で普及。
- 単に巻き付けるタイプのものは締め付け強度が十分でないが、折り返し金具による調節機能を付けたタイプは強度も改善していて、取り扱いと強度と犬への負担などのバランスが取れている。
- 欠点は、マジックテープが簡単にくっ付いてしまうために、複数個所でマジックテープを利用するデザインの場合は、お互いに干渉することになって、逆に取り扱いが面倒になること。
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素材と固定の関係
簡単なことだけど、
柔らかい素材:
- 素材が柔らかいと、サイズが形状も含めてぴったり合っていないと、足は靴の中で自由に動きやすい。足首を固く閉じておけば、足が自由に動いても脱げてしまうことはない。足に袋を被せているようなもの。
- サイズが足にピタッと収まる場合は、地下足袋を履かせているようなもので一つの理想形かも知れない。
- オーダーメードで地下足袋を作るのでなければ、柔らかい素材の靴は、グリップも安定せず、あまり運動向きではなくなる。色々な商品のレビューで直ぐに脱げてしまう報告の原因の一つが素材の硬さと運動量のミスマッチと思われる。
硬い素材:
- 素材が固めだと、足の位置が固定されやすい。運動量の多い犬の場合は、硬めの素材を使った靴にするのが良さそうだ。足底への衝撃に対しても有効と思われる。硬すぎると思ったら靴下を履かせて一定のクッションを確保するようにしたい。
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口コミ/売れ筋ランキングの見方
よく売れている靴が、求めるている靴かどうかを考える。
屋外でしっかり散歩させている犬が靴を履いていることは殆どない。アウトドアスポーツの自然派志向は、犬もまだ若くて元気で靴など必要としない。
売れている靴は、ペットのファッションの一環であったり、従って小型犬のものが多くなったりしている。この手の靴はサイズは小さいし、素材も柔らかいし、固定性能はあまり問題にならない。まあ、それでもあまり下端に脱げてしまうものは歓迎されないのは当然。
運動量の多い犬に履かせる靴は、決してランキングではア上に来ないと言うこと。楽天、ヤフー、アマゾンなどショップサイトに出てくるランキングはあまり意識しないことが必要。
スペックをトレースして押さえていくことが大事。
実際の利用者のレビューを見るのも大事だが、サクラレビューが入り込んでいる前提で見る事。見落としてはいけないのは、問題課題に相当する内容で、固定性能に関する記述。履かせやすいかどうかは、慣れの問題が入ってくるからあまり気にしなくていいが、どう履かせても簡単に脱げてしまう場合は、事例が少なくてもしっかり見る必要がある。靴が脱げたり、半分脱げた状態になるのは犬の足を痛めてしまいかねないので、注意してメッセージを受け取るようにすることです。
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ナックリング対策
足を引きずるようになる犬は少なくない。特に、胴長系の犬種、高齢犬、ヘルニア、その他遺伝的な神経症が出てくると、後ろ足がふらつくことがある。重症化すると、手術になるし、車椅子の世話になることも。
軽微な段階では、靴を履かせて、形を決めて、足を少しでも引き上げて歩行するようにリハビリを行う。また、散歩を継続することで、筋力を維持して悪化が進まないようにできる期待がある。
この場合の靴は、足が靴の中で自由に動いては矯正が出来ないので、柔らかい素材の靴は好ましくない。と言うより危険なだけで回避すべき。きっちり形の決まった固めの素材の靴を選ぶべきだ。
軽度の場合は、運動量もあるから、固定性能も高いものにするのは当然のことだろう。
つま先のデザイン
ナックリングは足を引きずるようになることだが、引きずる状態というのはつま先が経ってしまったり時には裏返ったりすること。放置するとつま先の爪も削れて出血が始まる。毛に隠れて気付くのが遅れることもある。雑菌が入る要因にもなる。
靴のデザインはつま先を固い素材でしっかりカバーするものでなければいけない。
特にナックリングの症状が出ていなくても、つま先は何かの弾みでダメージを受けやすいので、相応の対応をしたデザインのものを選んでおきたい。
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